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民法の一部を改正する法律案

法律案が公開されました。

【理由】

社会経済情勢の変化に鑑み、消滅時効の期間の統一化等の時効に関する規定の整備、法定利率を変動させる規定の新設、保証人の保護を図るための保証債務に関する規定の整備、定型約款に関する規定の新設等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

法務省ホームページ




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自民党政務調査会法務部会に意見書を送付しました。

自由民主党 政務調査会 法務部会 御中

      民法改正(保証関係)に関する意見書

                     平成27年1月29日
                     保証被害対策全国会議
                   代表 弁護士 宇都宮健児


第1 意見の趣旨
民法改正要綱案中「第18 保証債務」「6 保証人保護の方策の拡充」  「(1)個人保証の制限」に関して下記の通り意見を申し上げます。

 1.「公正証書による例外規定」の撤廃ないし制限を求めます。
 2.「配偶者保証の例外規定」の撤廃を求めます。
 3.「保証債務の責任制限規定」の明文化を求めます。

第2 意見の理由
1 はじめに
私たちは、全国クレサラ・生活再建問題対策協議会(代表幹事 弁護士 木村達也)の関連団体として、多重債務・破産・自殺等の大きな要因の一つである保証人制度の問題に取り組む全国の弁護士・司法書士・学者・多重債務被害者の会相談員等で平成23年に結成された任意団体です。これまで法制審議会における保証人保護制度の拡充について意見書を提出するなどの活動をして参りました。
この度、法制審議会が取りまとめた民法改正要綱案においては根保証規制の拡充や情報提供義務など保証人保護の観点から評価しうる点もございますが、以下に述べるとおり、逆に保証人保護に鑑みて問題のある規定が存すると考えます。今後の国会審議に向けて、貴党における検討を求める次第です。

2.公正証書の例外規定の撤廃・制限(意見の趣旨1)
要綱案では「個人保証の制限」と標榜しながら、保証契約に先立ち、公正証書を作成することにより、いわゆる「第三者個人保証」が可能となる建て付けとなっております。これでは、親族・友人・同業者・同僚など義理人情で無償で保証人となってしまう「第三者個人保証」の制限にはなりません。
金融庁は監督指針において、金融機関に対し、第三者個人保証の原則禁止を求めており、第三者個人保証を徴求しない実務が拡がっております。また、「経営者保証ガイドライン」により、経営者保証に依存しない融資が指向されているところです。
多重債務・破産・自殺などの「保証被害」を防ぐとともに、中小事業者の再チャレンジを阻害する個人保証に依存しない融資慣行の確立は成長戦略にも位置づけられています。
私たちは、私法の一般法である民法においても、事業者向け融資における第三者個人保証は禁止されるべきであると考えます。
なお、公正証書作成による例外規定は、保証契約の締結そのものも公正証書により併せて行われる懸念があります。この場合、「執行認諾公正証書」が作成される結果、保証人は裁判無しで突然、自宅・給料・生命保険などを差し押さえられる危険があります。かつて、商工ローンが社会問題化した際に商工ファンド(SFCG)は公正証書を濫造し保証被害を多発させました。その再来の懸念があり、公正証書による例外は、個人保証の単なる「骨抜き」であるだけでなく、むしろ「有害」であるとの指摘もあります。
仮に「公正証書の例外」を設けるとしても、創業時の融資など第三者個人保証が必要な場面に制限をし、先立つ公正証書による意思表示と保証契約が連続して行えない様にすること、保証契約について執行認諾公正証書の作成を禁止すること、負担が予想しにくい「根保証」については例外を認めないこと、公証人に説明義務を課すことなど、公正証書による弊害を可能な限り制限する規定を設けることを求めます。

3.配偶者保証の例外の撤廃(意見の趣旨2)
要綱案では、取締役・過半数株主・共同事業者等については公正証書を作成することなく個人保証ができるとされていますが、この例外の中に「主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の「配偶者」が含まれています。
しかしながら、配偶者(多くの場合は妻)が個人保証をするのは、断ることができない情宜的な保証の典型例です。個人事業者の配偶者は、帳簿の記帳や電話応対など、多かれ少なかれ主たる債務者が行う事業に現に従事している場合が多いと思われます。21世紀のわが国の民法典の改正において、また、個人保証への依存からの脱却を目指している金融庁監督指針や経営者保証ガイドラインがあるにも関わらず、「配偶者」保証を肯定的に規定することには反対です。
逆に女性が起業をする場合にも、夫の保証を求められることとなり、女性の起業を阻害する懸念もあります。配偶者保証規定については、法制審議会においても民法学者などを含めて根強い反対が存したところです。御再考をお願いする次第です。

4.保証責任の制限規定の明文化を求めます(意見の趣旨3)。
法制審議会では、保証人を過大な保証債務から救うべく、保証責任の制限規定を設けることが検討されてきましたが、明文化が困難とのことで見送られました。
しかしながら、経営者保証ガイドラインでは、保証人の再チャレンジを支援するために、自宅や預貯金を手元に残す仕組みが定められています。平成26年5月に成立した地域経済活性化支援機構改正法の附帯決議では「個人保証に依存しない融資を確立するべく、民法(債権法)その他の関連する各種の法改正等の場面においてもガイドラインの趣旨を十分踏まえるよう努めること」 とされています。
保証人の支払能力を超える保証契約を禁止するとともに、裁判所が保証人の事情に応じて責任を制限する規定を設けることを再検討されることを求めます。

以上

第34回全国クレサラ生活再建問題被害者交流集会in広島

第34回全国クレサラ生活再建問題被害者交流集会in広島において、分科会を行います。

「保証人保護の到達点と課題~保証人保護はどこまで進んだか」

法制審議会における民法改正作業は大詰めを迎えております。保証人保護規定の拡充についての要綱案も示されます。その到達点と今後の立法に向けた課題を確認します。また、今年2月から実施されている経営者保証ガイドラインについても検証します。他方、高齢者・障害者の医療介護・賃貸などセーフティネットにおける身元保証が新たな社会問題となりつつあります。社会保障と保証人の問題についても情報交換を行いたいと思います。

1.日時 11月2日(日)午前9時~11時45分
2.場所 広島YMCA国際文化センター
3.お申込み 
  実行委員会ホームページからご確認ください。
  被害者交流集会ホームページ



当会議のシンポが報道されました!

入所入院の保証人、必要か 東京でシンポ

中日新聞記事

2014年5月15日


三重県伊賀市社会福祉協議会の地域ぐるみでの保証機能づくりの説明に、耳を傾ける参加者ら=東京都新宿区の司法書士会館で


写真


 介護施設への入所や医療機関への入院で、ほとんどの場合求められる身元保証人。その必要性を議論するシンポジウムが十日、東京都内で開かれた。介護施設の約三割が、保証人のいない人の入居を認めないとの民間調査などが報告された。


 シンポは法曹関係者でつくる保証被害対策全国会議が主催し、約百人が参加した。会場では、成年後見人を務める司法書士の団体、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート制度改善検討委員会の森田幸喜(こうき)さんが、昨年三月に実施した調査結果を報告。全国の療養型の病院と、高齢者向け住居を含む介護施設千五百二十一カ所に協力を求め、六百三カ所(病院九十七、介護施設五百六)が回答した。


 病院などが求める保証人に法的根拠はないが、病院、施設ともに九割以上が身元保証人などを求めた。病院などが保証人に期待する役割(複数回答)は、緊急の連絡先、利用料金などの支払い、入院計画・ケアプランの同意、遺体や身柄の引き取り、医療行為の同意など。「一切の債務を負う包括根保証に近いもの」と森田さんは指摘する。


 保証人がいないと入所先などが限られることは、一般的に知られているが、調査でも病院の22・6%、施設の30・7%が入院、入居を認めないと回答した。


 身元保証人のあてがない人に、身元保証などを代行する民間事業者がある。解約時の金銭トラブルや、遺産をその事業者に寄付することを強要するなどの問題が起きていることを、多くの病院、施設が認識していない実態も分かった。成年後見人の役割が、施設や病院に十分伝わっていないこともうかがえた。


 国は病院や施設が正当な理由なくサービスを拒むことを法令で禁じている。保証人を条件にした入院、入所の受け入れに対し、市町村に是正を求めるよう働き掛けるといった対応策を、森田さんは提案した。


 一方、病院などが保証人のいない人に抱く不安にも理解を示し、不安解消の対応策も保証人を不要にする道筋と示した。例えば成年後見制度の利用者なら、入院費用や利用料の不払いはありえないことを知ってもらう啓発などを挙げた。後見人がいない人らを対象に、市町村が身元保証の機能を果たす団体を設立するなど、資産が少なくても保証機能を利用できる仕組みづくりも提言した。


 三重県伊賀市社会福祉協議会の先進的な事例紹介もあった。保証人のいない人には、金銭管理などを代行する社協の「日常生活自立支援事業」を使ってもらい、利用料の支払い漏れをなくすなど、既存の制度を活用して地域ぐるみで対応。保証人がいなくても不安が減らせることを病院や施設に説明している。


 また、東京都の社会福祉士からは、軽費老人ホームで、六十歳未満の所得証明を提出できる保証人をつけることを入居要件にしている例が報告された。同ホームは、身体機能の低下などで自立した日常生活に不安があり、身寄りのない人らを対象にした住居。「安心できる住まいが必要な人が、保証人の制約で入れない事態が起きている」と訴えた。

(佐橋大)


毎日新聞に身元保証人の問題に関する記事が掲載されました!

身元保証人:入院時、必要2割 介護入所は3割 民間全国調査

毎日新聞 2014年05月10日 東京朝刊

http://mainichi.jp/shimen/news/20140510ddm001040180000c.html


 全国の病院の2割、介護施設の3割が「身元保証人」を入院や入所の必要条件としていることが、民間団体の調査で分かった。頼める相手がおらず、必要な医療や介護を受けられない単身者や高齢者が現実に出ており、個人の身元保証に代わる新たな仕組みを設ける必要性が浮かんだ。【伊藤一郎】

 病院や介護施設が身元保証人を求めるのは長年の慣習だが、法律上明確な根拠はない。これにより一部の利用者が排除されかねないとの指摘は以前からあったが、詳しい実態が明らかになるのは初めて。調査は、認知症の高齢者や障害者の成年後見人を務める司法書士の全国組織「成年後見センター・リーガルサポート」が実施。全国1521の病院と介護施設に聞き、603(病院97、介護施設506)から回答を得た。

 それによると、「入院・入所時に身元保証人を求める」との回答は病院で95・9%、介護施設で91・3%を占め、ほぼ例外なく要求される現実がある。さらに、身元保証人を必要条件とし、「立てられない場合は利用を認めない」としたのは、病院で22・6%、介護施設で30・7%に上った。

 保証人が見つからない場合、6割前後の病院・介護施設が「成年後見人に身元保証を求める」とした。だが、後見人が入院費や利用料を肩代わりすると、利用者を支援する立場にありながら債務の返済を求める矛盾した関係となる。ほぼ全ての病院・介護施設が「公的機関による保証が必要だ」と回答した。

 身元保証人を立てられず入院・入所を断られるケースは実際に起きている。

 「保証人代行問題被害者の会」に寄せられた相談には、病院に入院する際に身元保証人を確保できなかった患者が、インターネットで見つけた保証人紹介業者に高額の利用料を支払ったのに保証人の紹介を受けられなかった事例がある。

 また、浜松市の榛葉(しんば)隆雄司法書士によると、知人の30代男性は皮膚科で日帰りの手術を受ける際、身元保証人を求められた。検査後、男性が「見つからないので手術は別の病院で受ける」と伝えると、検査データの提供を拒まれ、検査料を請求されたという。

 さらに、榛葉氏が成年後見人を担当した80代男性が介護施設に入所する際、身元保証人を求められたが見つからず、「後見人が財産を管理しており、利用料の支払いは問題ない」と説明。施設は「(身元保証人を不要とする)例外を作りたくない」とし、なかなか入所を認めなかった。地域のケアマネジャーが要介護者を介護施設に入れる際、身元保証人が見つからず、仕方なく自分が引き受ける事例も珍しくないという。

 今回の調査を実施したリーガルサポート・制度改善検討委員会の田尻世津子委員長は「身元保証人の役割は金銭保証から治療や介護の内容への同意、死亡後の対処まで幅広い。それぞれの機能を分析し、それに代わる仕組みを考える必要がある」と話す。

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 ■解説

 ◇新たな支援態勢を

 身元保証人の慣習は、地縁や血縁の結びつきが維持され、収入の安定した正規雇用中心の社会を前提に長く続いてきた。だが、非正規雇用の増加や高齢化、無縁社会化で頼るべき相手を持たない人が増える中、必要なサービスの享受を阻む「壁」となりつつある。

 個人ではなく、地域や組織で身元保証機能を果たそうという試みは、すでに始まっている。

 あるNPO法人は、身寄りのない高齢者の預託金を管理し、入院・入所の際に身元保証人を引き受けるサービスを提供。身元保証や退院・退所時の対応を有料で引き受ける社団法人もある。

 地域に根を張る社会福祉協議会でも「保証人支援」「保証機能サービス」をうたうところが現れた。身元保証人を確保できないケースで、社協が「いざという時の金を預かっている」と説明し、利用を認めてもらう仕組みだ。

 こうしたセーフティーネットの利用者は年々増えているが、高額の資金が必要なケースもあり、十分に機能しているとは言い難い。個人による身元保証を根本から見直し、自治体や公的組織も含めた新しい保証のあり方を考え出す時に来ている。【伊藤一郎】

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 ■ことば

 ◇身元保証人

 病院への入院や施設への入所のほか、企業に就職する際にも求められることが多い。戦前の1933年にできた「身元保証法」は、採用時に企業が求める身元保証人についての規定があるだけで、入院・入所時については法令の根拠はなく、習慣上求められてきた。



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保証被害対策全国会議のページです。
保証制度の改正に向けて、意見の提言や改正のための運動に取り組んでいきます。

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