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災害援護資金貸付における保証人徴求について(2)

(1)から続きます。

災害援護資金貸付における保証人徴求の廃止等を求める意見書

第2.意見の理由

1.現行災害援護資金の問題点

 まず、はじめに、この度の東日本大震災の犠牲者のご冥福をお祈りしますとともに、被災地と被災者のみなさま方に心からお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い救援・復旧・復興を願う次第です。
 ところで、被災者の生活再建のための諸施策の1つとして、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく「災害援護資金の貸付け」がございます(内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要8ページhttp://www.bousai.go.jp/fukkou/kakusyuseido.pdf)。しかしながら、報道によると阪神大震災時には総額1309億円が約5万6400世帯に貸付されたところ、全体の25%にあたる約1万3900件(約209億円)が返済ができておらず、行政より訴訟も起こされているとのことです。その原因は被災者の生活困窮にあることは明らかです。今般の東日本大震災においても給付型である被災者生活再建支援制度とともに、この災害援護資金の貸付が活用されることとなると思われますが、現行制度のままで貸付がなされるならば、多くの被災者が将来にわたって償還に苦しむ事態を招くことは必至です。また、災害援護資金の貸付については保証人を立てることが必要とされていることから(災害弔慰金の支給等に関する法律施行令8条)、被災者の生活再建のためを思って保証をした保証人も将来にわたり償還困難の問題を抱える懸念があります。被災者やその保証人が、災害援護資金の償還をめぐり更に苦しめられる危険性があるのです。

2.災害援護資金貸付けにおける保証を廃止すること(意見の趣旨1)
 そこで、災害弔慰金の支給等に関する法律施行令8条1項は「災害援護資金の貸付けを受けようとする者は、保証人を立てなければならない」としておりますが、 この8条の廃止を求めます。政府は、既に中小零細事業者支援や自殺対策の一環として連帯保証制度の廃止を含む保証制度の見直しに取組み始めてきたところです(金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表についてhttp://www.fsa.go.jp/news/22/ginkou/20110228-2.html・内閣府自殺対策緊急戦略チーム「自殺対策100日プラン」http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/senryaku/pdf/p1-8.pdf・法務省法制審議会民法(債権関係)部会http://www.moj.go.jp/content/000049084.pdf)。被災者の方々の生活再建の困難に伴う支払不能・支払遅滞のリスクを、自らは何らの経済的利益を得ていない第三者である保証人に転嫁するものであって、この制度設計は大いに問題がある。被災者が保証人を立てられないために災害援護資金貸付けを利用できない事態を避けるとともに、情宜的な保証人が償還の困難に巻き込まれ、借主被災者や保証人の生活破壊という二次被害を招かないためにも直ちに同法施行令8条を廃止し、保証人を不要とする制度に改めるべきです。
 
3.償還免除の要件の緩和(意見の趣旨2)
 災害援護資金の償還免除について法13条は「市町村は、災害援護資金の貸付けを受けた者が死亡したとき、又は精神若しくは身体に著しい障害を受けたため災害援護資金を償還することができなくなったと認められるときは、当該災害援護資金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができる。ただし、政令で定める場合は、この限りでない」と定めています。そして、これを受けた同法施行令12条は、「法第13条第1項ただし書に規定する政令で定める場合は、保証人が当該災害援護資金の償還未済額を償還することができると認められる場合とする」と定めています。つまり、被災者借主のみならず保証人まで償還困難とならない限り償還免除は活用できません。そして、その要件は「死亡」若しくは「著しい障害」に限定されており、経済的困窮更には自己破産をした場合でさえ免除がされないという極めて厳しいものとなっています。被災者の中には、残念ながら今後の生活再建においてもやはり経済的苦境にたたされ続ける者も存在することが想定されます。経済不況下にある日本においては当然のことです。災害援護資金は、後述の通り、被災者に償還の負担を負わせ続ける貸与制度ではなく給付制度を原則とすべきと考えますが、仮に貸与制度を維持するとしても償還免除の要件から保証人の償還可能性を問うとの要件は撤廃するとともに、借主被災者についても、その経済的再起更生を図る観点から、償還免除の要件を大幅に緩和することを求めます。具体的には同法施行令11条1項の償還猶予の要件(災害、盗難、疾病、負傷その他やむを得ない理由により、災害援護資金の貸付けを受けた者が支払期日に償還金を支払うことが著しく困難になったと認められるとき)を参考としつつ、更に免除要件を緩和すべきです。

4.利子・違約金規定の廃止(意見の趣旨3及び4)
 同法10条4項は、災害援護資金の貸付について、据置期間経過後は年利3%とすることを定め、また、同法施行令10条は10.75%の違約金を定めています。しかしながら、被災者の生活再建という観点からは、元金の償還だけでも大いに負担となることに鑑み、無利子とするように同法10条4項の改正を求めます。また違約が生じた場合には被災者借主は経済的に困窮していることは明白ですから、そのような貸付に10,75%もの損害金を付しても無意味ですし生活再建の観点からは有害です。そこで同法施行令10条の撤廃を求めます。

5.その他ー給付制の導入等(意見の趣旨5)
 前述のとおり阪神大震災における災害援護資金については今なお償還をめぐる問題が陰を落としています。被災者の生活再建という観点からは、災害援護資金については貸与ではなく給付を原則として、その金額の上限を引き上げるべきです。また、貸付対象者の所得要件あるいは損害要件を撤廃ないし大幅緩和し、制度を利用しやすくすること、支払猶予(同法施行令11条1項)の要件を緩和するなどして、災害援護資金を利用しやすい制度とするとともに、その後の償還において被災者の生活再建を圧迫することとならないように法令の改正をすべきです。

【本件についての問い合わせ先】
 〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-3-3
       神戸ハーバーランドセンタービル10階
       電話078-371-0171 FAX078-371-0175
       神戸合同法律事務所
  保証被害対策全国会議
  事務局長 弁護士 辰巳裕規

以    上
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