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パブリックコメント(2)

第2.総論-自然人保証(個人保証・消費者保証)を禁止すべきである。
【意見の趣旨】
 自然人保証(個人保証・消費者保証)を禁止すべきである。

【意見の理由】
1 自然人による保証の撤廃も検討すべき必要性

(4) 中小企業の再チャレンジの阻害要因となっている
 中小企業庁の2003年中小企業白書に引用されている『2002年事業再挑戦に関する実態調査』によると,経営者が「倒産するにあたって最も心配したこと」は,「従業員の失業(23.8%)」に次いで,「保証人への影響(21.3%)」となり,「家族への影響(19.5%)」よりも多い。
また,2003年7月の金融庁『新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告書』では,個人保証の問題点として,事業再生の早期着手に踏み切れないという傾向を助長,経営者として再起をはかるチャンスを失うなどの指摘がなされている。

(5) 裁判上も保証契約の成否,責任制限の可否が多く争われている
 保証の問題については,二段の推定などの最高裁判例(最判昭和39年5月12日判時376号27頁)もあり,保証人が免責されるのは極めて限定的であったが,古くから,保証人が,「保証意思を有していなかった」,あるいは,「錯誤があった(など意思表示に瑕疵があった)」などと主張して紛争となることが多い。近時は,保証人の主張を認める判例も散見されるところである(東京高判平成17年8月10日判時1907号42頁,千葉地判平成18年1月16日消費者法ニュース69号262頁など)。
さらに,最近では,「保証債務の履行請求は信義に反するのではないか」という争いも増えており,裁判所も,公序良俗や権利濫用など,一般条項による解決を図るケースが見受けられるようになっている(最判平成22年1月29日判タ1318号85頁など)。
このような判例の傾向に鑑みれば,保証制度には「法律の不備がある」と指摘せざるを得ないところであり,トラブルを未然に防ぐべく,法律による抜本的な手当てが望まれるところである。

(6) 貧困問題と保証
 わが国では貧困率が過去最悪となっている。派遣・パートなどの非正規雇用が増大し、派遣切り・非正規切りにより雇用とともに居住を直ちに奪われ、ホームレス状態となる者も増大化している。また若年労働者や高齢者を中心に孤立化・無縁化が進んでいる。派遣会社に登録する際に身元保証人を求められたり、生活基盤たる住居を借りる際にも保証人を求められるが、これを見つけることができない層をターゲットに「保証人紹介ビジネス」と称する「貧困ビジネス」が横行している(平成22年5月26日「借金をするとき、家を借りるとき、就職するとき・・・保証人紹介ビジネスのトラブルにご注意!」国民生活センター)。また様々なセーフティネット貸付等においても保証人を求められる場合が多い。生存を確保するための最低限度の生活を維持するために必要な給付を受ける際にまで保証人が求められる制度・社会慣行は、貧困からの脱却を大いに阻害しており、改められる必要がある。

(7) 民主党マニフェスト
 2009年の総選挙における民主党のマニフェストでは,中小企業の総合支援対策として「政府系金融機関の中小企業に対する融資について,個人保証を撤廃する」「自殺の大きな要員ともなっている連帯保証人制度について,廃止を含め,あり方を検討する」とされている。


2 自然人による保証を撤廃することの許容性
(1) 実務運用
 保証制度を考える際には,保証人保護といっても,資金需要者への貸し渋りや債権者,主債務者の負担増加などを勘案しての政策的判断も無視できない。また,経営者の個人保証なくして融資実行は考えられないという指摘もある。
 しかしながら,現実には,例えば,経済産業省が2004年に実施した中小企業団体の会員を対象としたアンケート結果(『新たな融資慣行の確立に向けた制度整備について』)によると,第三者の保証人を依頼している事業者は16.4%に止まっており,他方,個人保証は提供していない事業者も26.6%にのぼっている。
また,2006年以降,中小企業庁は,信用保証協会における第三者保証の徴求を原則として禁止している。
さらに,金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」「Ⅲ-3-3-1-2 主な着眼点」において,「経営者等に補償を求める場合,家計と経営が未分離であることや,財務諸表の信頼性に問題がある中小企業の場合,企業の信用補完且つ経営に対する規律づけという機能があるが,一律に保証を求めることへの批判があることを踏まえ,当該経営者と保証契約を締結する客観的合理的理由の説明が必要である」とされ,経営者保証も当然視されているわけではない。

(2) 現在の試み
 金融庁は平成23年7月14日付で「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの監督指針」を改正し,「経営者以外の第三者による個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し,また,保証履行時における保証人の試算,収入を踏まえた対応を促進するため」、経営者以外の第三者による個人連帯保証を求めることを原則禁止とするなどした。
 その他,金融機関関係者からも,会社が債務を弁済できなかったとしても,法令を遵守した経営を行い,正確かつ適法な財務データを金融機関に提出している限り,経営者は個人財産への責任追及を受けないとすることにより,中小企業の財務データ等の信頼性を補完しつつ誠実な経営者を保護する観点からの提案がなされている(中村廉平『中小企業向け融資における経営者保証のあり方について』銀法720号15頁)。
そして,金融検査マニュアル(預金等受入金融機関に係る検査マニュアル)でも,「中小企業に適した資金供給手法の徹底にかかる具体的な手法例」として「様々なコベナンツの活用」「停止条件付連帯保証(事業や経営状況の報告義務を課す等のコベナンツを付し,当該コベナンツ違反を停止条件として代表者に連帯保証を求めるもの)」等とされ,従来型の連帯保証制度の代替的な措置が提案されている。

(3) その他の金融を得る手段
 平成10年に制定された「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」が,平成16年に改正され,法人がする動産の譲渡について,登記によって対抗要件を備えることを可能とすること,債務者が特定していない将来債権の譲渡についても,登記によって対抗要件を備えることなどが可能となった。
このような法改正の背景として,「バブル経済崩壊後における不動産の資産価値の継続的下落という経済情勢や企業の債務につき個人保証をした者が過大な責任を負いがちであるという現状を背景に,不動産担保や個人保証に過度に依存していた従来型の企業の資金調達方法を見直す必要があるとの認識が近時広まった」とされる(植垣勝裕=小川秀樹『一問一答動産・債権譲渡特例法[三訂版増補]』5頁)。

(4) 金融機関の自己査定基準について
 加えて,自然人の保証は,金融機関の自己査定において,余り重視されているとは言えない。
すなわち,金融庁の自己査定別表1において債務者区分が記載されているところ,保証について言及されているのは1.債権の分類方法,(1)基本的な考え方において,「債権の査定に当たっては,原則として,信用格付を行い,信用格付に基づき債務者区分を行った上で,債権の資金使途等の内容を個別に検討し,担保や保証等の状況を勘案のうえ,債権の回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて,分類を行うものとする。」とし,保証等による調整(1.(5))では,「保証等により保全措置が講じられているものについて,以下のとおり区分し,優良保証等により保全されているものについては,非分類とし,一般保証により保全されているものについては,Ⅱ分類とする。」とされ,個人の保証は一律に一般保証とされている(同②)。
 更に,債権の分類基準によると(1.(7))③破綻懸念先について,「一般保証により回収が可能と認められる部分及び仮に経営破綻に陥った場合の清算配当等により回収が可能と認められる部分をⅡ分類」とするとし,「『保証により回収が可能と認められる部分』とは,保証人の資産又は保証能力を勘案すれば回収が確実と見込まれる部分であり,保証人の資産又は保証能力の確認が未了で保証による回収が不確実な場合は,当該保証により保全されていないものとする」としている。
 とすれば,この「保証人の資産または保証能力」とは,保証人の現有財産と将来収入相当分であって,仮に予め物的担保として徴収されていれば,担保による調整(1.(4))により,非分類化できるものである。
このような金融機関の債権の自己査定を考えると,少なくとも自然人については,債権保全上もその必要性が乏しいことは明らかである。


3 まとめ
 自然人の保証人が惹起する弊害を勘案すると,債権者の保証人に対する説明義務や適時執行義務を明確にするより,将来債権譲渡担保等の保証に頼らない金融手段を設定すること,事業者代表者の場合に主たる債務者である事業者と代表者の財産の混同を回避するというのであれば,詐害行為取消権の証明責任を転換するなどすれば足りる筈である。
 このように考えると,保証債務を自然人が負担するというのは,法的義務としては過大になりがちであり,かつ債権者にとっても債務者にとってもその予見可能性が乏しいものであって,不適当である。従って,少なくとも自然人の保証制度を,その可否を含めて抜本的に見直すべきである。
 なお、賃貸保証についても、家主は敷金や家賃の設定により債権未回収のリスクを分散できること、保険制度や適切な機関保証制度により個人保証によらなくともリスクを分散できること、居住は市民の誰もが最低限の生活を営むために必ず確保されなければならないものであるところ、社会の孤立化・無縁化とともに、社会的・経済的弱者の居住確保が保証人要件のために困難となっており、保証人紹介ビジネスや「追い出し屋」被害を生む土壌となっている。公的住宅供給の拡充とともに、保証人を強制されずに賃貸住居が確保できる仕組みが求められており、賃貸においても個人保証・自然人保証は禁止されることが検討されるべきである。なお前近代的な身元保証は今般の民法改正に伴い禁止すべきである。

以下(3)に続く

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