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個人保証契約無効論試案(その4)

個人保証契約無効論試案
                 2012(平成24)年10月27日
                 保証被害対策全国会議

                 (執筆者)司法書士 赤松 茂
                          同  金森耕治
                          同  榛葉隆雄
                        弁護士 辰巳裕規

3.合意の瑕疵からのアプローチ
(1)自由な意思が存在しないこと
 保証契約の保証人となる者は、主債務者に懇願されて、主債務者との人間関係を壊したくないばかりに、嫌々保証人となることが多い(保証契約の「情宜性」)。保証契約は対価性がなく、保証人は債務だけを負うことになるのだから当然である(保証契約の「無償性」)。
 保証契約は債権者と保証人との契約であるものの、実際には、保証人と主債務者との人的関係により、保証人は保証契約を断る自由が失われた状態で保証契約を締結するものがあるのである(保証契約の「情宜性」)。このような場合には、保証人は、保証契約を締結することに関する自由な意思が存在しないものと言える。
 したがって、自由な意思が存在しない状態で締結されることの多い保証契約は類型的に合意の瑕疵が存在する契約であるということができる。

(2)判例においても意思の瑕疵が認められる場合が多いこと
保証をめぐる裁判例においては、錯誤により保証人の責任を否定する事案は少なくない。保証契約の錯誤無効を肯定する裁判例の多くは、契約当初、保証人が認識している主債務の内容と、実際の主債務の内容とが大きくかけ離れ、かつ保証人が予想外の不利益を受けている事案であり、裁判例からは、保証契約締結の際に債権者から保証人の負う主債務の内容の説明が正確になされていない傾向がうかがえる。
また、近時は、消費者契約法による誤認取消しが認められる場合も見受けられる。これらは、主債務者の説明が断定的判断に該当したり、虚偽の説明に該当したりするケースに取消しを認めたものであるが、これら裁判例からは、保証人が保証契約を締結する際、保証契約の当事者とはならない主債務者の説明が重要な要素となることがうかがえる。
このように保証人は、保証人の負う主債務の内容を正確に把握していないことが多く(説明を正確に行わないという債権者側の要因のほか、保証人側の要因としては、通常、主債務の履行が遅滞しなければ保証債務の責任が生じないと考え(保証契約の「未必性」)、自ら負う責任を正確に把握しようとしないということ(保証契約の「軽率性」)や主債務の内容を細かく問いただすことは主債務者の信用を信じていないことになるのではないかといったこと(保証契約の「情宜性」)も考えられる。)、保証契約締結には主債務者の説明が大きな要素となっていることが多く、類型的に意思の瑕疵が内在しやすい契約であると言える。

(3)類型的に心裡留保・錯誤と類似の構造が認められること
保証人は、現実に自らが保証債務を負うことになるとは思わずに保証契約を締結することが多い(保証契約の「軽率性」)。名前だけ、形だけ保証人となっているにすぎない。そしてその動機は債権者に表示されている。債権者もまた保証人を取るのは、主債務者に主債務者の履行をより確実なものとするよう心理的プレッシャーをかけるという要因や保証人をつけることができるか否かという点を主債務者の信用力を図る与信の一要素とするなどのように、保証人からの履行をあてにしていないことがある。現に、法務省が行った「家賃債務保証に関する実態調査結果報告」では、「家賃債務に関する保証人が個人である場合に、現実に保証人に対して延滞賃料等の支払を求める事例は、どの程度の割合で存在しますか。」という問いに対し、「甲協会10%」、「乙協会0.3%」、「丙協会 保証人に支払を求める事例は多くない。」「丁協会 原則として支払を求める会員もいれば、原則として支払を求めない会員もいる。ただし、いずれの会員も保証人からの回収にはそれほど期待していない。保証人がスムーズに支払うのであれば保証人から回収するというスタンスである。」「A社 3か月以上の賃料滞納が発生すると多くの場合保証人に支払を求めているが、3か月以上の賃料滞納が発生する率は0.5%以下である。」、「B社 賃料滞納時には100%保証人に支払を求めている。」、「C社 回答なし」、「D社 2%」という回答がなされ、わずか1社を除いて、ほとんどが保証人からの回収を期待していないという実態が報告されている(民法(債権関係)部会参考資料9-2)。
このように保証契約においては、誰もがよもや保証人が保証債務を履行しなければならないなどとは考えておらず、類型的に、心裡留保の但書の規定・錯誤の規定と類似の構造がある。

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